間違いだらけの健康常識

  ●「高血圧に減塩」は嘘

  東北地方には、漬物や塩鮭をたくさん食べる習慣がある。だから高血圧で亡くなる人が日本で1番多い。そんな話をよく耳にします。これは本当の話でしょうか。

  東北地方に高血圧で亡くなる人が多いのは事実です。異常と呼べるほど多いわけではないが、他地域と比べれば多い。塩分の摂り過ぎが高血圧につながる、という

  のも全く嘘ではありません。塩にはナトリウムが含まれていて、ナトリウムには体内の水分を保持する作用があります。塩を沢山摂れば、「体内に保持された水分」は

  増え、結果として血流量も増えて血管が受ける圧力が大きくなります。これが塩分の摂り過ぎが高血圧を招くメカニズムです。しかし、「東北地方の食生活」と「塩分の

  摂り過ぎが高血圧につながる」という2つのファクターには、密接した関係はないと言えます。塩分の摂り過ぎによって高血圧になる人は、高血圧患者の約1~2%に

  過ぎません(高血圧患者のおよそ9割は原因の特定できない「本態性高血圧」)。ご飯にソースをかけて食べる、といった習慣があるのなら、これは改めるべきでしょう。

  しかし、健康な人であれば、身体に不要な塩分は尿と共に排出されます。排出機能がきちんと働いているのなら、あえて「減塩」をする必要はないのです。余分な塩分を

  排出する為には、カリウムが有効です。カリウムは、リンゴやバナナ、 メロンなどの果物に豊富に含まれているから、塩辛いものが特に好きな人はこうした果物を

  積極的ニ摂るべき。東北地方の中で、高血圧で亡くなる人が最も少ないのは青森県です。これは青森はリンゴの消費量が多いという事実と無関係ではないでしょう。

  細胞の形を維持するのも、体液の総量を調整するのも、ナトリウム、つまり塩です。腎臓が尿を作る際も、塩は極めて重要な役割を果たします。筋肉の収縮を助ける、

  胃液などの成分となって働く、等と言ったことも塩の仕事。塩は生存に不可欠のものであり、過度の減塩は健康を害するものなのです。「減塩すれば病気にならない」

  などと考えてはいけません。高血圧の原因は塩分の取り過ぎにあると言うことが指摘され、医療機関や行政などが「減塩指導」を初めてから、40年ほど過ぎています。

  結果、日本人の塩の摂取量は大きく減りました。しかし、にもかかわらず、高血圧患者は減っていません。現在、日本には高血圧患者がおよそ3000万人いるのです。

  「高血圧には減塩」と言うことが短絡的な発想であるのは、この事実からも明らかでしょう。   ✶健康であれば、むしろ「塩分の控え過ぎ」に注意すべき

  ●「コレステロール悪玉説」の嘘

  「コレステロールを減らす」とか「コレステロール・ゼロ」などと(うた)った食品が、盛んに宣伝されています。コレステロールは脂質の一種ですから、摂り過ぎは確かに

  注意すべきです。しかし、やみくもに減らせばいい、というものではありません。コレステロールは、細胞を作る「材料」の1つです。男性ホルモンや女性ホルモン、

  抗ストレスホルモン、ビタミンDなどの「材料」でもあります。カルシウムの吸収を助ける働きもあります。要するに、コレステロールは、生存には絶対に欠かせない物

  であるわけです。体内にあるコレステロールの約8割は、肝臓で作られています。食べ物から摂取されるのは、2割程度に過ぎません。生存に欠かせない物だからこそ、

  体内で多量に作られているのです。食物から摂取するコレステロールが不足すれば、当然、肝臓の負担は大きくなります。コレステロールの総量が減れば、免疫力が

  低下したり、細胞膜などが脆くなって癌の危険が高くなるとも言えます。昨今の健康ブームによって、「善玉」と「悪玉コレステロール」という存在が、広く知られているが、

  悪玉とは、いったい何なのでしょうか。簡単にいえば、肝臓で作られたコレステロールの「運び屋」のことです。運ぶこと自体は、人体にとって悪ではありません。必要な

  場所に必要な分だけ運ばれていなければ、むしろ健康は損なわれます。だったら何故、悪玉と呼ばれるのか。これは活性酸素などの攻撃に遭うと、運んでいる

  コレステロールを血液中にばら撒いてしまうからです。血中にコレステロールが増え過ぎた状態が長く続くと、動脈硬化などの危険が高くなります。これが「悪玉」と呼ば

  れる所以ですが、問題は悪玉コレステロールそのものにはありません。配送中のトラックがテロリストに攻撃され、積み荷が道路に散乱してしまう。悪いのは活性酸素

  などのテロリストであり、コレステロールも運び屋もとりたてて悪いものではありません。では、善玉とは何なのか。これも簡単に言うと、コレステロールの「回収屋」です。

  体内のあちこちに届けられたコレステロールが余っていれば、これを回収して、肝臓に戻す。「運び屋」がばら撒いたコレステロールを回収して肝臓に戻す。この働きを

  「善玉」と称されているわけです。健康な人がコレステロールを気にするのであれば、「悪」はコレステロールではなく、活性酸素だと心得るべきです。活性酸素を減らす

  には、ビタミンC、ビタミンE、カロチノイド、ポリフェノールなどが有効です。これらの成分を含む食品で右往左往する必要はなく、野菜や果物、魚介類や海草などを、日々

  の献立に盛り込んでいけばいいわけです。肉や魚、野菜や海草、果物や魚介類を偏りなく食べる。そうした、当たり前の食生活を送ることで、充分な「活性酸素対策」

  「正しいコレステロール対策]ができるのです。   ✶「悪玉」も「善玉」も、コレステロールは健康維持に必要