▲「動脈硬化は治らない」と言う医学常識の嘘
代表的な成人病であり。日本人の三大死因でもある、癌、心臓病、脳卒中。このうち心臓病と脳卒中は、いずれも循環器系の病気である。「循環」とは、血液の循環を
意味し心臓や血管に関わるトラブルのこと。これらのの病気になりやすい人の特徴は、動脈硬化が著しいことである。心臓で動脈硬化が起これば狭心症や心筋梗塞の
原因になり、脳動脈や首のあたりにある頸動脈が動脈硬化を起こせば脳卒中になる。脳卒中には、脳動脈が破れる脳出血と、血管が詰まることで起きる脳梗塞がある。
本来、動脈には弾力があって、血液の流れに合わせて内径が広がったり戻ったりしている。その弾力を失うのが動脈硬化である。そこを無理やり血液が通ろうとする
から、動脈が破れてしまうのである。従って心臓病や脳卒中を防ぐには、何よりもまず動脈硬化を避けることが大事なのだが、これが簡単ではない。年を取れば、
動脈硬化は誰にでも起こる。「人は血管と共に老いる」という言葉もある位で、年齢と共に、次第に肌に張りが無くなっていくように、血管も老化していく。だが、それを
放っておけば循環器系の病気を招く可能性が高い。三大死因のうち2つに動脈硬化が関わっているのだから、どうにかして血管の老化を食い止めたいところである。
ところが医者の多くは、「動脈硬化がどんどん進む一方で、血管の弾力は戻らない」と考えている。誰にでも起こる自然な老化現象だからやむを得ない、というわけだ。
しかし、正しい栄養を摂取することによって、ある程度まで人間の老化を食い止めることができるのである。動脈硬化も例外ではなく、動脈の弾力を保つ為に必要な
材料を与えてやれば、脆くなった血管も
を招く。特に戦前の日本人には、脳卒中の中でも脳出血が多かった。これは、蛋白質の不足した食生活を送っていた為に、動脈が脆くなりやすかったからである。
事実、戦後になって食生活が欧米化し、動物性食品を積極的に摂取するようになってからは、以前と比べると日本人の脳出血は減少している。一般に、動物性食品は
良質の蛋白源であり、エラスチン等の体蛋白作りに有利なのである。
▲動脈硬化は分子栄養学なら治療できる
ごく一部の医者にエラスチンに注目して研究を行っている人もいるが、医者の場合、必要な物質を患者の体外から投与して治療しようとする傾向が強い。エラスチンの
場合も、外から与えて動脈を蘇えらせようと試みている。こうした医者の発想パターンが、受け入れがたい。医者は足りない部品を体の外で調達しようとする。だが、
エラスチンは人間が体内で作り出している蛋白質であるので、普通は外からエラスチンを投与しなくても動脈が弾力を保っている。それが本来あるべき姿なのである。
ところが「足りないなら投与すればいい」という発想では、患者はその後も自力でエラスチンを作ることができない。いつまでも外部からの投与に頼らざるを得ないのでは、
根本的な解決にならない。それどころか、これは過度な福祉と同じで、外から与えられ続けると人間の体もすぐに“怠けもの”になってしまい、エラスチンを自力で作る
機能が著しく低下してしまうのである。本当の意味で動脈を蘇えらせる為には、部品を外から与えるのではなく、その部品を体内の工場で生産できるようにさせなけ
ればならない。そこで求められるのは薬や注射ではなく、正しい栄養学に基ずいた食生活の改善なのである。では、体内でエラスチンを作るには何が必要か。
分子栄養学に基ずくと、この蛋白質を作る為に欠かせないのは、ビタミンB6である。イワシ、大豆、バナナ、豚肉など、この栄養素を含んだ食品を積極的に食べることが、
動脈硬化を解消し、ひいては心臓病や脳卒中の予防につながるのである。また、循環器系の成人病の中でも特に心筋梗塞の予防に役立つ物質に、タウリンと言う
含流アミノ酸がある。これは名前の通り硫黄をもつアミノ酸で、牡蠣や魚の血合肉等に含まれている物質である。蛋白質の立体構造は、硫黄と硫黄が結合すること
によって、保たれている。ところが、この結合部分が活性酸素の攻撃を受けやすい。活性酸素によって壊された部分を補修する為には、その硫黄をもった含流アミノ酸
が必要になるわけである。もともと日本人の食生活には、含流アミノ酸が不足している。卵にはこれがかなり多く含まれているが、その卵が「コレステロールの多い
成人病の大敵」と言った誤ったレッテルが貼られて敬遠されているのだから、困ったものである。卵は100点満点の栄養食品である。むしろ成人病予防の為にどんどん
食べるべきなのである。