ウソだらけの医学常識

  ▲O-157に感染する人、しない人

  1997年、O-157トいう耳慣れない名前の病原性大腸菌が、日本各地に深刻な被害をもたらした。とくに年端(としは)も行かない子供たちが何人も命を落とした事は、

  痛ましいかぎりである。その上、いわゆる「カイワレ犯人説」を巡る厚労省の(つたな)い対応も、未だに業者との間で尾を引いている。もちろん、O-157の被害自体も

  終わったわけではない。今後もまた騒ぎを起こす可能性はあるだろう。0-157ハ、牛や羊などの腸内にいる大腸菌で、肉や内臓を介して、人間に感染する。口から

  入った菌は、胃酸によって殺されるのが普通だが、0-157は酸に強く腸まで到達し、腸壁に付着する。そこでベロ毒素と言う毒物を分泌して、出血や潰瘍を起こさせる

  のである。但し、O-157が体内に入れば必ず被害を受けるというわけではない。基本的には、まず量の問題があると思われる。食べ物を通じて大量に取り込めば、

  それだけ症状も重くなる可能性が高いのは当然である。また、個体差に左右される部分も大きい。学校での集団感染の場合、給食が源になったと思われるが、同じ

  給食を食べても平気な子もいれば、死亡してしまう子もいた。こうした違いは、恐らく遺伝的な体質の違いによるものだろう。腸管内には、粘液に分泌された抗体が、

  異物や病原体の侵入を(はば)もうとして待ち構えている。その抗体作りに、遺伝的な弱点があるケースが考えられるからである。しかし、基本的には、やはりこれも、

  栄養の問題なのである。毒であれウイルスであれ、体にはもともと異物を取り除こうとする力が備わっている。その力が十分に発揮できるような環境を、正しい栄養に

  よって作ることを心掛けるべきである。

  ▲関節炎・骨粗鬆症にはカルシウムよりも、まず蛋白質

  中年を過ぎると誰でも成人病が心配になるものだが、更に年齢を重ねていくと、今度は骨が弱くなってくるのが悩みの種となる。特に女性は、その傾向が強いようだ。

  高齢になって女性ホルモンが減ってくると、副甲状腺ホルモンの働きが活発になって、骨からのカルシウムを引っ張り出してしまう。その結果、骨が弱くなって腰が曲が
  
  ったり、関節が痛くなったりするのである。関節痛にはいくつかの種類があるが、一番多いのは変形性関節症と呼ばれるものである。これは一種の老化現象で、階段を

  降りる時などで膝に痛みを感じたりする。要するに、「どうも年のせいか体の節々が痛くてね」という、あれである。膝でも肘でも、すべての関節は骨と骨が向き合った

  形になっている。曲がる時には骨同士が(こす)れ合うから、接触する部分にはカバーが必要になる。そのカバーは軟骨でできているのだが、長く関節を使っていると

  それが擦り減ってくる。だから年を取ると、骨同士が直接ぶつかるようになって骨が変形し、神経を圧迫するのである。従って、変形性関節症を治すには、擦り切れた

  カバーを補修してやる必要がある。つまり、関節を覆っている軟骨を再生させるわけだ。何十年もかけて擦り減ってきたものだから、再生にも時間がかかるが、必要な

  材料さえ十分に与えてやれば必ず効果は出る。では、軟骨を作るには何が必要か。恐らく、「カルシウム」と答える人が多いだろう。骨を丈夫にするにはカルシウム―

  という医者の「常識」を、子供の頃から頭に叩き込まれているからだ。しかし、残念ながら、この骨に関する知識は極めて中途半端なものと言わざるを得ない。

  骨と言えば、白く硬い骨を思い浮かべるだろうが、その土台に軟骨があることを忘れてはいけない。骨が成長する為には、骨の端にまず軟骨ができ、それにカルシウム

  が沈着して硬骨になるという手続きが必要である。軟骨はコラーゲンという蛋白質を心棒にして、プロテオグリカンという糖蛋白を詰め込んで作られている。硬骨は、

  これにグラタンパクという蛋白質の接着剤でカルシウムを塗り込めて作り上げる。軟骨も硬骨も、まず最初に蛋白質がなければ、形にならないことが分かるだろう。

  コラーゲンを作るにはビタミンC、プロテオグリカンを作るにはビタミンA、グラタンパクを作るにはビタミンKが動員される。これだけの御膳立てが整ったうえで、ようやく

  カルシウムの出番となるわけである。ビタミンKは、ブロッコリーやピーマン、ワカメなどにもあるが、納豆に圧倒的に多い。そのうえ、納豆のビタミンKは吸収が良く、且つ、
  
  人体で使われやすいタイプである。腰が曲がったり、腰痛が起きたりする仕組みも、基本的には変形性関節症と同じである。脊柱は、臼の様な形をした椎骨が重なって

  おり、その間には椎間板と言うクッションがある。この椎間板が擦り減ることによって、腰が曲がったり痛んだりするわけである。欧米に比べ、日本のほうが腰の曲がった

  お年寄りが多い。これは明らかにカルシウムではなく、蛋白質の不足が原因である。脊柱の全体にわたって支えているのは、脊柱起立筋と呼ばれる筋肉のシステムで、

  この筋肉システムが脊柱を伸ばしたり、体幹を回転させたりする。強く大きな筋肉だが、収縮蛋白質の束で作られているので、蛋白質の摂取不足が続くと、本来の役割

  が無理になってしまう。骨と筋肉の双方に蛋白質不足のツケがきた結果なのだ。年を取ってからの腰痛は、骨粗鬆症の始まりとも言われている。これは骨の量が極端

  に減り、骨の中がすかすかになってしまう怖い病気である。予防手段としてカルシウムの摂取が促されている。しかし、骨粗鬆症の場合も、それだけでは十分とは言え

  ない。やはり骨作りの土台となる蛋白質をきちんと摂ることが求められるのである。