◎分子生物学こそ、本当の医学
分子生物学の卓効 | 癌の真因も「活性酸素」にあり |
「癌常識」も間違いだらけ |
●分子生物学の卓効
医者も見放したケロイドが高蛋白で治った | 古い材料のリサイクルより、新品の材料こそ重要 |
人体のフィードバック作用の驚異 | 分子栄養学は「個体差」の栄養学 |
蛋白質の摂取は「量」より「質」が決定的 | 何故、人間は病気になるのか |
9種類の不可欠アミノ酸をどう摂るかが鍵 | 何故、メガビタミン主義が「健康の元」なのか |
蛋白源として卵と大豆、どちらが優秀か |
▲医者も見放したケロイドが高蛋白で治った
多くの部分で、人間の病気に関する考え方が医者の言うことと違うのは、従来の医学に基ずくものではない「分子生物学」という生命科学の骨格となる学問に
立脚して、人体の仕組みを考えているからです。同じ山でも自分が立っている場所によって見え方が違うように、これと従来の医学とは根本的に違っている。
ここで言う「分子」は、遺伝子の分子を意味しており、その遺伝子の実体が明らかにされたのは20世紀最大の科学的成果だと言っても良い。
遺伝子やDNAと言った言葉は皆耳にしたことがあるでしょう。DNAとは植物から動物まであらゆる生命の「設計図」のことで、もちろん人間の体もDNAと言う
設計図に従って作られている。その仕組みを明かそうと言うのが分子生物学であり、人類に史上最大の恩恵をもたらす科学でしょう。
医者と全く違う方向から人体にアプローチすれば、もちろん「治療」の方法も結果もまるで違ってくる。具体例として火事で全身に大火傷を負い体中にケロイドが
残り、医者から「一生治らない」宣告された人の回復例を見ると、治らないと言った医者とは正反対の意見を述べた。それはケロイドができていても、恐らく
皮膚の遺伝子そのものは壊れていないだろう。だとしたら、必要な「材料」を与えれば正常な皮膚が作くられるはずだと考え、分子生物学の理論的な立場から
「一生治らない」ことはないと判断した。では、ケロイドの治療に必要な「材料」とは何か。それは良質な蛋白質とビタミンである。「設計図」とは、蛋白質の構造を
暗号化したもので、従って、設計図が壊れていなければ、与えられた蛋白質と言う「材料」で、DNAの指示通りの正常な皮膚に作り上げられるはずだ。
また、ビタミンは、蛋白質を作るうえで補助的な役割を果たすので必要なのです。理論的には「いずれ正常な皮膚が再生する」といえるが、治療経験が
なかったので、回復時間も分らず、良質な蛋白質と体内利用をスムーズにするビタミン群、特に皮膚が要求するビタミンAを与え続け、気長に待つことにした。
摂取を始めてから2ヵ月後に皮膚が再生しつつある証拠が現れた。半年後には殆ど回復し、苦しみから解放された患者は、「この治療法が被爆者にも」
と言ったが、遺伝子の設計図が放射能によって壊さわれている可能性が高いので賛成できない。設計図がなければ材料を与えても元に戻らないのです。
▲人体のフィードバック作用の驚異
遺伝子の働きに着目した治療が有効であることが実証された。皮膚がケロイドを克服した事実は、生体が「合目的性」を持っていることを端的に示すものである。
全ての生物は、「個体」と「種」の保存を目的として生きている。自らを滅ぼす為に存在する生命など1つもない。従って体の器官や機能は、個体や種の保存と言う目的
に合致するようにできている。これが生体の「合目的性」である。言い換えれば、体には病気や危険を避け、自ら健康になろうとする力があらかじめ備わっているのである。
だから、例えば毒を飲み込めば自然に解毒作用が働く。砂嵐が起これば、眼球を保護しようと反射的に瞼が閉じる。強いストレスを受ければ抗ストレスホルモンが体内
で作られ、ウイルスが入ってくれば対抗手段としてインターフェロンが作られる。ケロイドができれば、元通りに皮膚を復元しようとする力が働くのである。こうした
合目的性は、一見するとマイナスに働いているように思えることもある。例えば、長く病院のベッドで寝た切りの生活を送っていると、脚の筋肉が衰えてくるが、生物と
しての目的に反した結果とはいえない。使用しない筋肉に栄養を配給するのは、生体にとって無駄なことだからだ。そういう意味で、これも目的に合致した現象だと
言える。無事に退院して歩行を開始すれば、再び脚の筋肉は太くなるのである。電気工学の世界には「フィードバック」と言う用語がある。電気回路で出力の1部が
入力に送り返されることによって出力が増減することで、例えばサーモスタットのような自動制御装置に利用されるている働きである。要するに、電気回路が自己調節
を行うのである。生体の合目的な活動は、このフィードバックと同じだと言える。冷蔵庫の温度が上がり過ぎれば、電気回路のフィードバックによって適温まで下げ
られる。それと同じように、火傷によって皮膚の細胞が傷つけば、人体のフィードバック作用によって新しい皮膚が作られるのである。もちろん、体がフィードバックを
行うからと言って、すべての病気や怪我が放っておいても自然に治ると言うわけではない。火傷で皮膚の回復までに14年間苦しんできたが、それは、生体が合目的性
を発揮する為の環境が整っていなかった為である。人間の体が自ら健康になろうとする力を持っていることを理解していれば、その力を後押しする方法を見つけ出し、
治癒に必要な環境を整備することができる。その環境が、この場合、蛋白質とビタミンの補給であったわけである。人体がフィードバックを行うには、エネルギーや物質
が必要になる。ケロイドの治療に限らず、そこでまず第1に求められるのは、常に蛋白質である。そもそも、蛋白質に相当する「プロテイン」という英語は、「第一のもの」
と言う意味だ。従って皆さんも、人体の合目的性を第一に保障するのは蛋白質だと言うことを、肝に命じておいてもらいたい。それが分子栄養学の基本なのです。