知っておきたい食品と薬の相互作用
                       知っておきたい食品と薬の相互作用

                                              グレープフルーツと医薬品                                   

グレープフルーツと薬物の相互作用への対応はとても難しく、多くの患者がグレープフルーツの摂取を制限されています。

また、健康食品についても思わぬ相互作用が生じる場合があります。薬物を服用するときは、その相互作用に注意する

事が重要です。                           

現在、グレープフルーツのCYP阻害による相互作用は主に消化管で生じると考えられているので、消化管で主要な

CYP3A4の阻害ということになりますが重要な点として

@CYPあるいはP-gpの量や活性は個人差が非常に大きく相互作用の程度も個人差が大きい。

Aグレープフルーツの品種、産地、収穫時期或いは、ジュースのブランド、生産ロットによって、含まれる成分量が大きく

異なる事がある。

BグレープフルーツによるCYP3A4の阻害は不可逆的に生じるため、阻害から回復するのに数日かかる。

Cグレープフルーツジュースの飲用のみならず、果実を食べることでも相互作用が起こる可能性がある。

以上のような特徴からもわかるように、グレープフルーツと医薬品の相互作用は非常に難しいものとなります。

▲カルシウム拮抗薬服用中の多くの患者にはグレープフルーツが制限されている。

 カルシウム拮抗薬は、相互作用によって血中濃度が上昇した場合、過度の血圧低下にもとずくめまいやふらつき、

 頭痛、顔面紅潮などが生じる可能性がある。また、重大な副作用として、紅皮症(はく脱製皮膚炎)、無顆粒球症、

 血小板減少、肝機能障害・黄疸、意識障害などが挙げられ、このような症状が現れた場合は投与を中止し、適切な

 処置を行うこととされています。これらの重大な副作用はもともと頻度は少ないのですが、血中濃度が上昇すると

 頻度が増加する可能性があります。従って、現時点ではカルシウム拮抗薬に限らず、グレープフルーツの影響を

 受けると思われる薬物の服用中は注意する必要があると思われます。

§同じカルシウム拮抗薬でも、強い相互作用が認められる認められるものから、殆ど影響を受けないものまで受ける影響が

 大きく異なるので、相互作用への影響への配慮は薬物ごとに考える必要がありますし個人差も考慮せねばなりません。

▲その他にCYP3A4にかかわる相互作用の可能性のある食品・ハープ・生薬として

 セイヨウオトギリソウ、にんにく、バンペイユ、イチョウ葉エキス、オオアザミ、ツキミソウ、緑茶、薬用にんじん、大豆、

 カバ、エキナセア、ぶどう種子、スターフルーツ、五味子、麻黄、桂皮などが報告されていますので、これら自身や

 含まれている健康食品には注意が必要です。

               ▲グレープフルーツジュース併用注意とされている他の薬物

一般名 薬効分類(主な適用) 添付文書記載内容 頻度の高い副作用
シクロスポリン 免疫抑制薬(臓器移植、ベーチェット病、再生不良性貧血、ネフローゼ症候群、関節リウマチ、膠原病、間質性肺炎 グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇)、セイヨウオトギリソウ含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある) 腎機能障害、血液障害、肝機能障害、消化器症状、中枢神経症状(発熱、頭痛など)、感染症など
タクロリムス水和物 免疫抑制薬(臓器移植、重症筋無力症、関節リウマチ 同上 腎機能障害、血液障害、心不全、不整脈、血圧上昇、消化器症状、頭痛、感染症
シロスタゾール 抗血栓薬(血小板凝集抑制薬) グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇) 頭痛、消化器症状、肝機能障害、出血傾向など
ボセンタン水和物 エンドセリン受容体拮抗薬(肺動脈性肺高血圧症治療薬) グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇)、セイヨウオトギリソウ含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある) 頭痛、ほてり、吐き気、めまい、動悸、下痢、筋肉痛、不安感、血圧低下による意識障害
タミバロテン 抗がん薬(再発・難治性急性前骨髄性白血病治療薬) グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇)、セイヨウオトギリソウ含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある) ビタミンA製剤(チョコラA等)(併用禁忌:ビタミンA過剰症と類似した副作用症状を起す恐れがある(本剤はビタミンA誘導体である)、サプリメントや食品から過剰のビタミンA摂取も注意する必要がある) レチノイン酸症候群、感染症、白血球増加症、間質性肺疾患、縦隔炎、横紋筋融解症
ピモジド 抗精神病薬(統合失調症、自閉症治療薬) グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇、QT延長、心室性不整脈等の重篤な副作用を起す恐れがある)、アルコール(併用注意:相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある) 錐体外路症状(振戦、筋強剛など)、口渇、便秘、立ちくらみなど
サキナビル、メシル酸サキナビル HIVプロテアーゼ阻害薬 (抗HIV薬) グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇)、セイヨウオトギリソウ含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある)、にんにく含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある) 下痢、吐き気、肝機能障害、頭痛など
カルバマゼビン 抗てんかん薬、気分安定薬 グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇)、セイヨウオトギリソウ含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある) 胃腸障害、眠気、発疹、造血障害、肝機能障害、腎機能障害、徐脈など
ゲフィチ二ブ 抗がん薬 グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇) 急性肺障害、間質性肺炎、肝機能障害、下痢、発疹など
塩酸イリノテカン 抗がん薬 グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇、骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強する恐れがある)、セイヨウオトギリソウ含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある) 骨髄機能抑制、下痢、肝機能障害、腎機能障害など
メシル酸イマニチブ 抗がん薬(慢性骨髄性白血病治療薬) グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇)、セイヨウオトギリソウ含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある) 浮腫、吐き気、発疹、体重増加、こむら返り、造血障害など
プラバスタチンナトリウム 高脂血症治療薬 グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇) 胃腸障害、肝機能障害、黄紋筋融解症、睡眠障害など
臭化水素酸エレトリプタン 片頭痛治療薬 グレープフルーツジュース(併用注意:血中濃度上昇)、セイヨウオトギリソウ含有食品(併用注意:代謝が促進されて血中濃度が低下する恐れがある) アナフィラキシーショック、不整脈、狭心症、てんかん様発作、吐き気、めまい、異常感覚

  

                                     ★フラノクマリン類に関する近年の研究成果

  最近、グレープフルーツジュースから相互作用の原因となるフラノクマリン類を除去する研究がされている。

  例えば、このジュースに紫外線を当てたり高温処理をしてフラノクマリンを分解する試みがあるが

  いずれも顕著に減少するが風味の低下や栄養素の分解、人への安全性など確立されていない。

  中には苦味が減り、甘味が増すという報告もある。

  一般に薬物治療を受ける場合、薬物同士の相互作用のチェックはされ、有害な作用は避けられる。

  がしかし現在では、チェックの行われることの少ない健康食品や特定保険食品などと薬物の併用で

  相互作用を引き起こす可能性があります。

  いわゆる健康食品は次々と新しい素材が使われたものが発売される為、全てを把握して

  安全性や薬物との相互作用の可能性を評価するのは難しい状況です。

  健康食品は特定の部分を抽出したり、増量したりしたりして機能性を高めていることがあるので

  思わぬ相互作用が生じる危険性を持っています。

  現在健康食品を補助的に利用してセルフメディケーション推進の立場から有効な場合もあると思います。

  しかしながら、安全性や有効性に関する情報が少ない食品については、現時点では禁止する

  方向で考えた方が安全です。